【人との繋がりを持っていない漫画家が交流会でお客さんを見つける話】第三話

【人との繋がりを持っていない漫画家が交流会でお客さんを見つける話】第二話

交流会に参加する目的って?

交流会で名刺交換を繰り返しても
仕事には繋がらないと思いつつ、
紹介されたビジネスマッチングを目的とした
異業種交流会にゲスト参加した。

その交流会でひときわ目立っていたのは、
ある中小企業の経営者。
いろんな業種の参加者たちに
次々とビジネスアイデアを出していた。

交流会のあとの懇親会で、その先輩経営者と話をした。

「いろんな交流会に参加しているのに、全然売れないんです。」

「さっきいろんな人にアイデア出してましたけど、
どうやったらそんなに出てくるんですか?
どうやってそんなにたくさんの繋がりを持てているんですか?」

興奮して一気に質問してしまった。
だけど先輩経営者は親身になって聞いてくれていた。

「今日って、何か買いに来た?」

先輩の問いかけに、首をぶんぶん振って否定した。

先輩経営者は続けた。

「みんな自分のものを売りに来てるけど、
買いたい人がいなかったらそりゃ売れないよね」

先輩経営者の言葉にはっとした。
今までの交流会を思い出しても
何かを買いに来ている人はいなかった。
それなのに自分は、
人から無理やりお金を取ろうと必死になっていた。

「でも、どうにかしてお客さんを見つけないといけないんです。」

お金を稼がないとあっという間に会社は倒産してしまう。

すると、先輩経営者は懇親会で出されていた食事を掴んで、
自分のお皿にどんどん入れていった。

「まぁまぁ、とりあえず食べなよ」

お言葉に甘えて食事をもらう。

そのあとも、
名刺交換しても全く仕事に繋がらないことや、
いろんな交流会に行っても
ピンとこなかったことなんかをたくさん話した。
その間、先輩経営者はただただ話を聞いてくれて、
食事や飲み物を渡し続けてきた。

話すのに熱くなってたから
気づくのがずいぶん遅くなってしまったけど…

(この先輩経営者、なんかやたら自分にばっかり渡してきてない…?)

「自分にばっかりいろいろ分けてくれてますけど、
先輩も何か食べてくださいよ」

申し訳なくなってきて、
先輩のお皿に食事を盛って渡した。

先輩は、自分が分けたおかずを食べながら話を始めた。

「僕が渡し続けてたら、
君も分けてくれたでしょ?これが普通の人の感覚だよね」

「奪い合ったら喧嘩になるけど
分け合ったらみんなもらえる。
こんな交流会だったらいいよね」

奪い合うのではなく、与えあう…
自分は、子どもの頃に聞いたあるお話を思い出した。

それは、天国と地獄の食事の様子を描いた話だった。

長い箸を使って食事をするルールの中、
地獄の人たちは自分が先に食べようとしても
うまく口に運べなかったり、
長い箸が隣の人にぶつかって喧嘩になっていた。

一方、天国の人たちは、
長い箸で向かいにいる人に「どうぞ」と口に運んであげて、
みんなが争うことなく幸せに暮らしていた。…という話。

先輩の言っていることがこの話とぴったり合っていた。

だけど交流会で与え続けていても、
返してくれるかなんてわからないじゃん。
そんなにうまくいくのかな?
正直まだ疑っていた。

自分は先輩みたいにアイデアも浮かばないし、何も与えられない。
どうやったら先輩みたいな人になれるんだろう?
自分は、この先輩経営者からもっといろいろ教わりたい。
そう思って、異業種交流会の会員になった。

つづく


※出典:天国と地獄の長い箸(三尺三寸箸_仏教)

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Posted by まめ