絵が描けなかった漫画制作会社の新人が「まんがのそざい」でまんがが売れるようになった話 第3話

前回のお話:第2話

絵が描けないまま漫画制作会社に入った私が、「まんがのそざい」で漫画の仕事がもらえるようになったお話。

「今のままじゃ新人が育たない!」

社長は新人向けに様々な商材を作ってくれましたが、あまりにもベテランスタッフの技術においついていない私が漫画の制作で仕事ができないことに焦り、「受託の仕事は無理かもしれない」とマーケティングの学び直しをすることにしました。

漫画制作に関して何の戦力にもならないのに、私が諦めずに漫画を描きたいと言い続けているせいで会社に負担をかけてしまっていることに、日々申しわけないと感じていました。

だから私は一日でも早くベテランに追いつこうと、毎日絵を描き続けていました。
それでもなかなかベテランのような絵を描くことができない。
なんでだ!悔しい…!
せめて今、私が会社でできることは何かと考え、SNSの更新を担当したり、動画制作をしたりと、必死に食らいついていました。

そんなある時、社長は、30冊以上のマーケティング本が並んだ本棚の前で驚きの宣言をしました。

「ビジネスモデルを変えます!」

訳を聞くと、受託のビジネスモデルには大きな課題があると話す社長。

「これまでは、制作の品質を上げて、できるだけ高く売ることを考えていたけど」
「ベテランが作る高品質な漫画は数に限界がある。新人はなかなか育たない。」
「新人は安くて量産できる漫画を売る!」

安くてたくさん売れるものって何だろう?私は全く見当もつきませんでした。
すると社長は、1年前に受けたビックプロジェクトの冊子を開いて見せました。
「この案件で、説明のコマに〈まめ〉を使ったのを覚えている?」

〈まめ〉は、ビッグプロジェクト内で誕生した、個性がない小さなキャラクター。
(SNSなどでは白ハゲと呼ばれているみたいですが…)

丁寧に解説したいシーンを全て登場人物のセリフで済ませようとしていた、クライアントに対して、セリフだけで説明するなら漫画である意味がないと会社が提案したのが、〈まめ〉で漫画にするという方法でした。結果、状況をわかりやすく見せることに成功し、クライアントにも満足してもらえました。

「「マーちゃんのLP」で、クライアント毎にオリジナルのキャラクターを作らなくても、ストーリーは伝わることがわかった」

実際に、マーちゃんのLPで商品は売れていました。

「キャラクター性を極限までそぎ落とした〈まめ〉なら量産できるんじゃないかと思ったんだ」

確かに〈まめ〉なら新人の私も頑張れば描けそうだ。慣れれば早くたくさん描けるはず。
〈まめ〉は、漫画の神様が教えてくれた、誰でも描けるキャラクターの形。
私も「漫画のキャラクターの基本の形はこれだから、まずはこれを完璧に描けるようになりなさい」と社長に言われ、日々〈まめ〉を描けるように一生懸命練習していました。

ビジネスモデルを変えて「安くてたくさん売れるもの」を目指した結果、「新人でもできる仕事」にも繋がりそうな気配を感じました。

社長はさらなるアイデアを出します。
「いっそ、たくさんポーズとか動きを用意しておけば、絵が描けなくても漫画が作れるようになるんじゃないかな」

こうして、絵が描けない新人の私のために始動したのが「まんがのそざい」でした。
〈まめ〉の素材って、どんなものを作るんだろう…?

つづく

次のお話:第4話

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Posted by まめ