絵が描けなかった漫画制作会社の新人が「まんがのそざい」でまんがが売れるようになった話 第5話

前回のお話:第4話

フリー素材サイト「まんがのそざい」をオープンして約1年経った2023年。
サイトへのアクセス数がほぼ0に近い状態が続いていました。

「うーん…アクセスが来ない…なんでだ…?」
と考えていましたが、ある重大な事を忘れていました。
「そうだ、まだ誰も知らないんだ!知らせなくちゃ!」

ということで2023年11月。会社としても約3年ぶりに展示会に出展しました。

チラシの代わりに「まんがのそざい」を紹介する見開きのカードを作って、ブースを横切る来場者に
「無料で使っていただける漫画の素材を提供しているんです!」
「ぜひ皆さんの力で日本一有名なフリー素材にしてください!」
と手渡していきました。

一部の人からは
「これ、本当に全部無料なんですか?」
「どこで利益得るんですか?」
と質問が多かったように思いますが、当時は知ってもらうための広告としか考えていなかったので
「いやぁ、まぁ、これでも漫画を作るのが面倒ならご相談ください…」
と苦笑いするしかありませんでした。

でも、多くの人には
「これ、すごくいいですね!」
「キャラクターもかわいいし、簡単に漫画を作れるのはおもしろいですね!」
と好評の声をいただいて、なんだか我が子を褒められたようで誇らしく、嬉しくなりました。

同じ頃、地域の子どもたちが地元の産業に振れることができるイベントにコロナ禍以降4年ぶりに参加しました。
会社は毎回、小中学生を対象としたまんが教室を開いていて、それがイベント的にも好評企画だったと聞いていました。コロナ禍真っ只中に入社した私は初めての参加になります。

「今まではまんが教室といっても主に絵の描き方を教える事が中心になっていたから、
絵が描ける子と描けない子がいて」
「絵が描けない子は、まんがを描けないっていう風になっていた」と聞きました。


だったら今こそまんがのそざいの出番だ!と企画を立てて、
さっそく、まんがのそざいのポーズを何点かまとめて印刷し、
用意したコマに好きなように切り貼りするだけで漫画が作れるような教材を作りました。

私たちが作ったお手本の4コマ漫画のセリフだけを考える。
次に、セリフに合う絵を素材から選んで組み合わせる。
最後は自分でお話を考えて、素材の組み合わせで漫画を作ってみる。
3ステップで3つの漫画を作れるような講座にしました。


「使いたい絵がなかったら自分でマネして描いてもいいの?」
「この絵を使いたいからここからお話を考えてみたんだ」
参加した子どもたちは親子でコミュニケーションをとりながら、どんどん漫画が完成していきます。

子どもたちの発想は私なんかよりももっと豊かで、見守っていた私の方が
「このポーズそうやって使うんだ!おもしろいな」と感動するくらいでした。

「これまで自力で漫画を作れた子なんてほとんどいなかったのに、今回は全員漫画作れたね」と
これまではまんが教室では得られなかった結果に、社長も満足していました。

まんがのそざいはキャッチコピーに偽りなく、
本当に子どもから技術が足りない新人漫画家まで、誰もが漫画を作れるフリー素材になりました。

つづく

次のお話:第6話(最終回)

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Posted by まめ